行けたら行く

関西人が苦手なのに関西9年目になってしまった人のブログです

恋の終わりはいつでもクレイジー

私の大親友が、昨年、結婚しました。

 

彼女の初めての彼氏はカンボジア人でした。出会ったのは大学2年生の頃、旅行に訪れたカンボジアでガイドをしてもらったことがきっかけ。女の子3人と、現地の男の子3人で夜まで遊び、そのときに「好き」と言われたといいます。

 

彼女は、ずっと自分の外見に悩んでいました。だから、初めて言われた「好き」という言葉に、浮かれ上がったといいます。「私のことを好きになってくれる男性がいたんだ!」と。とはいえ、まだ大学生3年生。就職先が決まってから今後のことを考えよう、と別れました。

 

それから1年ほどがたち、無事、就職先が決まった彼女は、再びカンボジアの地を訪れます。

 

「もしもし、私のこと覚えていますか。もし覚えていたら、会いませんか」。電話の声だけで思い出せなかった彼も、直接会ったときに、思い出してくれたと言います。そこで、二人は正式におつきあいをすることになりました。

 

日本に帰ってきてからも、毎日のように国際電話。夏・冬休みの長期休暇は、上司に無理を行って、カンボジアに会いに行くなど、順調に交際はつづきました。

 

一方で、障害もありました。はい、私のことです。

 

私を含め、周りの友人や先輩は、その交際を不審がりました。「お金目当てなんじゃないの」「日本人の女の子全員に同じこと言ってるんだよ」と。

彼女が「そういえば、洋服を作るための布をプレゼントした」と言えば「ほれみー」とちゃかしたのを覚えています。そのたびに、彼女は「カンボジア 結婚詐欺」「カンボジアガイド 日本人女性」などで検索して、不安になっていたそうです。

 

結局、彼女は二人の将来が見えず、交際2年で別れてしまいました。

ですが、「初彼はカンボジア人」は彼女の鉄板ネタとして、飲み会の席ではよく話題になりました。別れて6年たっても、そのネタは色あせることなく爆笑をさらっていきました。

 

その「初彼はカンボジア人」ネタに私も便乗しようと、彼女の結婚が決まったのを機に、カンボジアに会いに行くことにしました。

 

彼女から、カンボジアの彼に6年ぶりに連絡をとってもらい、会えることになりました。とはいえ、6年前の元カノの友達に会わなきゃいけない義理はありません。ブッチされるかもしれない、もっと言えば、ぼったくられるかもしれない!という思いもありました。でも全部ふくめておいしい。

 

が!彼は現れました。思ったより、背が高くてがっしりしていて「おやおやイケメンやん!」というのが第一印象です。

 

その後、一緒にご飯を食べて、彼女の近況を聞かれました。「結婚したよ。来月、式があるよ」というと、彼は手で顔を覆って「そうか。幸せならいいんだ。おめでとう、って伝えて」と言いました。「彼女いないの?」と聞くと「僕のことはいいんだ。僕はひとりでも、仕事が楽しいから大丈夫」と上をみながら、ぽつりぽつりと答える様子は、涙をこらえているようにも見えました。

 

「ところで、なんで会いに来てくれたの?」。

彼女の結婚報告を聞いて、あまりにつらそうな顔をするので「彼女をだまそうとした男の顔を見てみたかった」とはいえません。黙っていると「僕のこと、気にしてくれたんだね。彼女は良いお友達がいて幸せだね」。

 

罪悪感で胸がちくちく。

 

二人がデートした道を車で通りながら「ここで一緒にバイクを乗ったんだ」「ここのゲストハウスで出会ったんだ」と言って、思い出を振り返りながら、2件目のバーへ。「今度、旦那さんと一緒に来てくれたら、案内するよ。僕のことを嫌いになっても、カンボジアを嫌いにならないでって伝えて」としんみり。前田敦子の名言はカンボジアにも届いています。あかん!私の方が目から水がでてきます!

 

3件目のカラオケ屋では「未練タラタラの男の歌だよ」という、クメール語の意味深な歌を披露してくれました。「僕は別れたくなかったから、別れ際に『ひどいよー』って言ってしまった。それはよくなかった。僕は彼女を幸せにすることなんてできないのに」。

 

こんだけ、自分のことを思ってくれている元彼はいたでしょうか!いや、いない!

 

ここまでのお支払いは全て、彼が持ってくれました。ぼったくられるかも、なんて言い方してごめん!!!ここにピュアラブ!真実の愛!があったのに、私の偏見とおせっかいで大事な純愛をつぶしてしまった、と部屋に帰って一人になると落ち込みました。

 

複雑な思いのまま帰国し、即、彼女に報告。

 

当時、ララランド(あの時、元彼と付き合ってたらどんな未来になっていたんだろう…的な映画です)がはやっていたことや、結婚式前のマリッジブルー的なものもあり、彼女の気持ちも落ち込んでいました。そうしたこともあり、しばらくはこの話題を避けていました。

 

帰国から約3カ月がたったころ、彼女がやっと口を開きました。「カンボジアの彼のことやけど……彼、結婚してたで」。

 

ええええええ?私には一人って言ってたよ!!!どうやってわかったの?

「実はフェイスブックで検索してん。そしたら、日本人の女性と結婚して、子どももいた。先週、子どもに会いに日本にきてたみたいやし」。

 

フェイスブックのタイムラインには家族3人でにっこり写る写真。日付は3日前。子どもは5歳くらいだろうか。結構大きい。

 

まじかよ!!確かに「フェイスブック教えて」と言ってもかたくなに拒否されたな…。彼の言葉はどこまで真実だったのか。

 

なんというオチ。恋の結末はいつもクレイジー!

でも、彼も含めていろんな出会いがあって、今の旦那さんに会えたわけだし、結果オーライってことで。結婚おめでとう。